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2023年12月20日

「もの」に「思い」をのせれば、最高のプレゼントに

ヤマサキマリ著 「扉の向こう側」 像の灰皿から

ソ連の崩壊から2年、中南米における唯一の社会主義体制国家キューバは、当事米国などからの経済制裁を受けて困窮状態に陥っていた。

日々の計画停電もなけなしのエネルギーを保つための対策だが、物質の輸入も途だえてしまったので、乾電池やろうそくのような代替品も全く手に入らなかった。

ハバナの小学校にノートを届け、燃料不足で動かなくなった重機の代わりにサトウキビを収穫するというボランティアが目的で、当事暮らしていたイタリアからキューバに訪れていた私は、市内にある15人家族に居候をしていた。

とある夕方、ベランダで子供たちと絵を描いて遊んでいると、ふと脇のテーブルに置いてある灰皿に目が止まった。

像の形をした可愛らしい陶器の灰皿だが、主人が葉巻をくゆらす時に使っているものだった。

殺伐としたその家の中で、色といい形といい際立った存在感があった。

これかわいいですね、とベランダに出てきた妻に伝えると、「お父さんと新婚旅行にサンティアゴで買ったのよ。何故だかそれだけ壊れないで残っているの」と、愛おしそうな目を灰皿に向けたまま微笑んだ。

帰国の日、空港のロビーで私を呼ぶ声に振りかえると、朝別れてきたばかりの一家の長女が子供たちを連れて、こちらへ走ってくるのが見えた。

私の前で立ち止まると息を整え「たいしたものじゃないんだけど、これキューバと私たちの思い出に渡してくれって両親から」と新聞紙で包まれたものを差しだして私の両手で掴ませた。

「でも恥ずかしいから飛行機の中に入ってから見てほしいって」

再び子供たちと熱い抱擁を交わし、たくさん手を振って別れてから飛行機に乗り込んだあと、言われた通りに、離陸後しばらくしてから新聞紙を開いてみた。

包みの中から現れたのはあの灰皿だった。

綺麗に洗ってあるが、ところどころ主人が吸っていた葉巻の焦げ跡が残っていた。

私は狭いシートに、体を屈めてしばらくの間誰にも気がつかれないように、黙って泣いた。


何十年前の像の灰皿・・ たばこの焦げ跡もある・・

今でいえばリサイクルショップに持ち込んでも値段はつかないのでしょう

でもその裏に、マリ、キューバを忘れないで、私たちと過ごしたことも覚えておいてね

そのために、新婚旅行で唯一残っていた自分の「宝物」を大切な人に・・

ものには思いが込められると最高のプレゼントになりますね

もうすぐクリスマス
「あなた」に素敵なクリスマスでありますように ✨✨


Posted by 尾上 正 at 06:03│Comments(0)
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