2023年10月04日
侍ジャパンが勝ち切った要因とは
大谷選手が大リーグホームランタイトルに輝きました
体格に劣る日本人がホームランタイトルを取るなど、少し前までは夢の話でした
来期はバッターとして期待したいところですが、まずは体をきっちり直していただきたいと思います
栗山英樹氏、横田南嶺氏対談から
横田
チームづくりにおいて監督が大切にされたことは何ですか?
栗山
強い組織というのは、全員が自分の都合よりもチームの都合を優先し、全員がチームの目標を自分の目標だと捉えていることだと思っています。
そういうことを伝えるために、今回は長くミーテイングをする時間がなかったものですから、三十人の選手全員に手紙を書きました。
僕はあまり字がうまくないんですけど、墨筆で。それを代表合宿がスタートする日に、各人の部屋に置かせてかせてもらったんです。
横田
ああ、手紙を墨筆で。しかも三十人に。
栗山
真心ってそういうものでしか伝わらないような気がしたものですから。
手紙に書いたことは、あなたは日本代表チームの一員なのではなく、あなたが日本代表チーム。要するに、自分のチームだと思ってほしいと。会社でもサラリーマン意識で勤めているのか、自分がオーナー経営者だと思って働いているのかでは感覚が全く違いますよね。全員に「このチームは俺のチームだ」と思ってやってほしかったんです。
そのため、普通はキャプテンを一人指名するわけですが、今回は全員がキャプテンだと。正直言って僕が相手できるような選手たちじゃなくて、本当にトップクラスが揃っていたので、 一人にブレッシャーをかけるよりも、そのほうが勝ちやすいと判断したんです。
そうしたら、初日の練習が終わった後、ダルビッシュが僕の部屋に来て、「監督、全員キャプテンOKです。あれ、いいですね。しっかりやります」みたいなことを言ってくれました。
横田
それでキャプテンを置かなかったのですね。ベンチにいる控え選手も含め、チームの一体感が画面からも伝わってきました。
栗山
野球の試合は九人しか出場できません。例えば、ベンチに座っている選手がふんぞり返るようにして傍観しているチームなのか、それとも前のめりになって声を出しながら、いつ出番が来てもいいように準備しているチームなのか。
要するに、他人事にするチームはやっばり勝ち切らないと思うんですよ。僕はそれをファイターズの監督をしていた時に実感したので、「自分のチーム」「全員がキャプテン」なんだと伝えました。
今回はそれを見事に発揮してくれましたね。先ほど話した準決勝で村上が決勝打を放った場面も、代走で出場した一塁ランナーの周東(佑京)は、村上が打った瞬間にスタートを切り、驚異的な速さでホームに帰ってきたんですよ。
僕としては打った瞬間に打球が外野を抜けるかどうか分からなかったんですが、試合後に周りのスタッフからこう聞きました。「監督、周東はちゃんと準備していました」と。周東曰く、「試合に出場する機会は少ないながらも、全員のバッティング練習をちゃんと見ていました。村上は確かに調子悪かったけど、左中間の打球だけは伸びていたんですよ。だからあの瞬間、抜けると確信しました」と。
横田
一人ひとりが勝つために自分の役割、チームヘの貢献に徹していた。素晴らしいですね。
栗山
その日の試合前、翔平が周東に「きょうは必ずおまえの足で勝利が決まる。だから、準備してくれ、頼むな」と言っていたらしいんですよ。そういうふうに勝負の瞬間への準備を全員がしてくれていた。監督の指示を待つのではなく、信頼関係の中で自らが責任を取ろうとし、勝つために仕事をしてくれていた。それが結果的に勝ち切った要因だと思います。
85年タイガース優勝の吉田監督が、その後にフランスの野球チームを指揮したときに(うろ覚えで確かフランスだったと思います)
選手に“バント”の意味を伝えるのがとっても難しかったと・・
“なぜ自分がアウトになって走者を進めなければいけないのか?”
プロは結果を出せなければ自分の場所がなくなってしまうので、自分が犠牲になってもチームのためにが理解されにくかったと・・
日本人の強みとして、“全体のために”の意識が根付いていることもあるのでは
チームのために・・・ が周りの人の協力を得られ、自身の成長につながり、一人では達成できなかった世界を見ることもできますね
体格に劣る日本人がホームランタイトルを取るなど、少し前までは夢の話でした
来期はバッターとして期待したいところですが、まずは体をきっちり直していただきたいと思います
栗山英樹氏、横田南嶺氏対談から
横田
チームづくりにおいて監督が大切にされたことは何ですか?
栗山
強い組織というのは、全員が自分の都合よりもチームの都合を優先し、全員がチームの目標を自分の目標だと捉えていることだと思っています。
そういうことを伝えるために、今回は長くミーテイングをする時間がなかったものですから、三十人の選手全員に手紙を書きました。
僕はあまり字がうまくないんですけど、墨筆で。それを代表合宿がスタートする日に、各人の部屋に置かせてかせてもらったんです。
横田
ああ、手紙を墨筆で。しかも三十人に。
栗山
真心ってそういうものでしか伝わらないような気がしたものですから。
手紙に書いたことは、あなたは日本代表チームの一員なのではなく、あなたが日本代表チーム。要するに、自分のチームだと思ってほしいと。会社でもサラリーマン意識で勤めているのか、自分がオーナー経営者だと思って働いているのかでは感覚が全く違いますよね。全員に「このチームは俺のチームだ」と思ってやってほしかったんです。
そのため、普通はキャプテンを一人指名するわけですが、今回は全員がキャプテンだと。正直言って僕が相手できるような選手たちじゃなくて、本当にトップクラスが揃っていたので、 一人にブレッシャーをかけるよりも、そのほうが勝ちやすいと判断したんです。
そうしたら、初日の練習が終わった後、ダルビッシュが僕の部屋に来て、「監督、全員キャプテンOKです。あれ、いいですね。しっかりやります」みたいなことを言ってくれました。
横田
それでキャプテンを置かなかったのですね。ベンチにいる控え選手も含め、チームの一体感が画面からも伝わってきました。
栗山
野球の試合は九人しか出場できません。例えば、ベンチに座っている選手がふんぞり返るようにして傍観しているチームなのか、それとも前のめりになって声を出しながら、いつ出番が来てもいいように準備しているチームなのか。
要するに、他人事にするチームはやっばり勝ち切らないと思うんですよ。僕はそれをファイターズの監督をしていた時に実感したので、「自分のチーム」「全員がキャプテン」なんだと伝えました。
今回はそれを見事に発揮してくれましたね。先ほど話した準決勝で村上が決勝打を放った場面も、代走で出場した一塁ランナーの周東(佑京)は、村上が打った瞬間にスタートを切り、驚異的な速さでホームに帰ってきたんですよ。
僕としては打った瞬間に打球が外野を抜けるかどうか分からなかったんですが、試合後に周りのスタッフからこう聞きました。「監督、周東はちゃんと準備していました」と。周東曰く、「試合に出場する機会は少ないながらも、全員のバッティング練習をちゃんと見ていました。村上は確かに調子悪かったけど、左中間の打球だけは伸びていたんですよ。だからあの瞬間、抜けると確信しました」と。
横田
一人ひとりが勝つために自分の役割、チームヘの貢献に徹していた。素晴らしいですね。
栗山
その日の試合前、翔平が周東に「きょうは必ずおまえの足で勝利が決まる。だから、準備してくれ、頼むな」と言っていたらしいんですよ。そういうふうに勝負の瞬間への準備を全員がしてくれていた。監督の指示を待つのではなく、信頼関係の中で自らが責任を取ろうとし、勝つために仕事をしてくれていた。それが結果的に勝ち切った要因だと思います。
85年タイガース優勝の吉田監督が、その後にフランスの野球チームを指揮したときに(うろ覚えで確かフランスだったと思います)
選手に“バント”の意味を伝えるのがとっても難しかったと・・
“なぜ自分がアウトになって走者を進めなければいけないのか?”
プロは結果を出せなければ自分の場所がなくなってしまうので、自分が犠牲になってもチームのためにが理解されにくかったと・・
日本人の強みとして、“全体のために”の意識が根付いていることもあるのでは
チームのために・・・ が周りの人の協力を得られ、自身の成長につながり、一人では達成できなかった世界を見ることもできますね
Posted by 尾上 正 at 06:15│Comments(0)