2017年08月23日
戦場の中のぬいぐるみ
山元 加津子著 「本当のことだから」から
沖縄の平和祈念公園の戦争の博物館には、日本の戦争だけでなく、世界中の戦争のいろいろなものが展示されていました
私はその博物館で、立っていられないほどの衝撃を受けました
中でも、とてもショックを受けたのが、机の上に置かれた、とても可愛いのくまのぬいぐるみでした
どうしてこんなところにぬいぐるみがあるんだろう・・
亡くなった子が大切にしていたぬいぐるみなのかな?
ぬいぐるみに添えられた説明書を見て驚きました
旧ユーゴスラビアにおいて激しい内戦がくりひろげられていたときに、人々は家から一時、地下などへ避難するときは、両手をあけておかないと逃げられないので、子供たちは、大好きなぬいぐるみを連れていきたいとの思いがありながらも、泣きながらも置いていくしかなかったということがあったのだと思います
その留守の間に、こともあろうか軍隊は、そのぬいぐるみに爆弾を仕掛けたのだそうです
爆撃がおさまって家に戻ると、子供たちは「置いていってごめんね」とまっ先に大好きなぬいぐるみを抱きしめたのでしょう
そのとたん、ぬいぐるみは爆発して、その子供は信じていた大好きなぬいぐるみを抱いたまま、死んでいったのです
どうして? どうして子供を殺さないといけないの? 子供は兵士じやないでしょう?
子供は、誰のことも傷つけたりしないでしょう?
説明をしてくださった方は、「片手を失った大人、片足を失ったゲリラたちは、自分の家族を守ろうとして、それでもまだ戦おうとするのです」
けれど、大切な子供を失った大人は、守るものを失って戦う意欲を失うのです
心の傷は、体の傷よりももっと大きいものなのです
軍はそんな人間の心理も知りつくしていました
だから、ぬいぐるみに爆弾を仕掛けたのです
今、世界各地で民間人を狙った無差別のテロが繰り返されています
言葉は非常に悪いのですが、テロ組織と対峙する軍人が10人亡くなっても、どこか自分たちの生活とは無縁のこと・・
それが、無差別に民間人を狙うと、恐怖心を植え付けることができます
戦争とは、人が人の命を大切にするという、最も大切なことを奪ってしまう恐ろしいものです
Posted by 尾上 正 at 07:15│Comments(0)