2018年10月03日
悲しむということは、笑うことと同じように大事なこと
月刊到知 10月号から
悲しむということは、笑うことと同じように大事なこと
本当の幸福を手にするためには、そういうところにも目を向けなければなりません 五木寛之
五木寛之さんはもちろん知っていますが、その生い立ちについては、今回初めて目にしました
私の人生観には、敗戦後の引き揚げ体験が大きいと思います
終戦の時に平壌(ピョンヤン)から引き揚げてきたのですが、あの時は人を突き飛ばしてでも前に出なければ生きられませんでした
そこで生き延びた私は、売れっ子になって持てはやされても、自分は表通りを歩ける人間じゃないといいう後ろめたさがあった
引き揚げの生活で、ソ連兵から繰り返し暴行略奪にあいました
自動小銃を抱えて来て、「女を出せ」と言うのです
そうすると誰かを人身御供(ひとみごくう)として出さなきゃいけない
そうして押し出されたしまった女性が翌朝ボロボロになって帰ってくる
本当はその女性に土下座をして涙を流して感謝しなければいけないところですが、「近づいちゃだめよ、悪い病気をもらっているかもしれないから」と子供にささやく母親の声が聞こえてきた
あるいは、発疹チフスなどが流行して、赤ん坊が次々死んでいき、母親はここで共倒れになってはならないと、自分の子どもを現地の人に売るのを、手伝ったこともあった
あの混乱の中で、人間の醜い本性をいやというほど見せられましたし、自分自身も生涯消えない汚点を残してしまったという思いがあるんです
私よりも、引き揚げてきた女性の中には、人に言えないような辛酸(しんさん)を嘗(な)めてこられた方がたくさんいます
そういう体験を抱えて生き続けるということは、本当に大変なことだと思います
心の中の、つらさ、悲しさ、せつなさ・・
そんな深い傷を抱えたまま、人は前を向いて歩いて行っているのだと思います
ただ、周りには言わないだけ
それは、人の深みを作っていくのかも
第二次大戦では、日本人死者は約230万人
その家族は・・
韓国のベストセラー小説、カシコギに出てくる言葉
「あなたが空しく生きた今日は、昨日死んでいった者が、あれほど生きたいと願った明日」
その昭和が終わり、 平成が終わろうとしています
この先、どんな未来を作っていくのか
笑顔花咲く未来であればと思います
Posted by 尾上 正 at
06:45
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